TAKE YOU FOR A WALK

When The Setting Sun

利根川のほとりにて


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赤城山と、榛名山。
前橋の北天を支える2つの山。

この旅ではっきり眺めることができたのは、
榛名山のほうでした。

前橋公園のわき、中央大橋の桁の上で、
自転車を叫ばす若者たちの、ペダルの下を流れる利根川。

詩人の萩原朔太郎がたびたび散歩した河原に、
ひとり下りて、水の流れをまえに佇む。



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きのふまた身を投げんと思ひて、
利根川のほとりをさまよひしが、
水の流れはやくして、
わがなげき、せきとむるすべもなければ、

萩原朔太郎 「きのふけふ」より抜粋 『純情小曲集』

私の大好きな五月
その五月が来ないうちに
もしかして死んでしまったら
ほんの気まぐれの心から
河へでも身を投げたら
もう死んでしまったらどうしよう
私のすきな五月の来ないうちに

萩原朔太郎 「五月」 習作集第八巻 萩原朔太郎全集第2巻 筑摩書房



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自分の言いたいことを理解してもらえず、
話すことを全く否定されたとき、人はやるせなく孤独になる。

生まれ故郷に住みながら、故郷の人に嫌われる。
周囲からバカ呼ばわりをされ、白眼視をうける。

世間の冷たさのなかで、寂しさを忍んで書かれた朔太郎の詩に、
この100年のあいだ、どれほど多くの人が孤独を慰められたことか。

口語自由詩を確立し、近代詩の父とされた彼だが、
その孤独を打ち明けてくれたことに、なによりも感謝したい。



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利根川の水は青く流れ、前橋の空は碧く澄みわたる。
彼は利根川に跳びこまず、故郷の前橋で終わることもしなかった。

利根川の橋の上から、榛名山の横たわる姿を見て、
多摩川から大山や富士山を望む、私の地元の風景を思い出す。

郷土望景詩のすべての舞台を訪ねたかったけど、
一日ではとても周りきれませんでした。

上電にも乗ってみたいし、また前橋を旅しに行こう。



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 萩原朔太郎 近代文学

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