FOR A WALK

in the landscape

役立たずを育む


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砧公園の世田谷美術館で
ブルーノ・ムナーリ展を見てきました。

ムナーリは、20世紀前半のイタリアの芸術家で、
「役に立たない機械」の制作者です。



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私の部屋にある機械、スマートフォン、冷蔵庫、電子レンジ、
エアコン、カメラ、湯沸かし器、どれも役に立つ機械ばかり。

役に立たない機械は、非生産的で、非効率で、不合理で、
なにも造らず、なにも為さず、単なる役立たず、

まさに無用の存在......、そこで意味を持ってくる、
役に立たない機械は、「無用の用」か?

樸は小なりといえども
天下よく臣とすることなし  老子




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役に立たないことに思い悩む必要はない、
その無用性のおかげで役に立たないものには、
侵されずに持続するという特質がある。

役に立たないものに有用性の尺度を当てることは見当違いなのだ。
役に立たないものは、それからはなにも生み出されえないということによって
そのものに特有の偉大さと決定的な力とをもつ。

このようなしかたで役に立たないのが事物の意義であり、
この意義なしには、役に立つものも意義を失い、
したがって役に立つこともない
ハイデッガー 「伝承された言語と技術的な言語」より
(『技術への問い』平凡社ライブラリー)




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現代の社会において、ある人間が社会の
役に立つかどうかを決定するのは、時間とお金だ。

このなんとも一方的で一面的な尺度によって、人々は、
有用な人間と、無用な人間とに分けられている。

本来ならば、人間に有用も無用もないはずなのだが、
才能が恣意的に分けられる現代の社会にあっては、

いかなる人間も、ひとりの個人のなかに、
有用とされる才も、無用とされる才も存在し、
有用とされる才を多く持つものが、社会的に有用な人間となる。

個人のなかで分裂した有用と無用は、持ちつ持たれつであり、
しかし互いに矛盾しており、その関係に苦しんでいる。

もし、時間とお金のロックが外れれば、誰が有用だとか、誰が無用だとか、
古くさい差別は意味を持たなくなって消滅するのかも。

すでに有用のほうは重宝される世の中なので、
無用がちな私は、せいぜい無用を用として育んでいこう。



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